金属質の揺籃で運ばれて行く墓場は午睡のまどろみの中にぽっかりと浮かんでいる。そこには汚らしいものが何一つ無く、ただ青々とした芝生の上では気随気儘にねむけたちが蠕動する。彼らはふらふらと歩く人々の脚に茎の食指を素早く絡ませてしまう。 そうしてここにはまたひとつねむけが増殖し、芝生の上で勝手な方向に跳躍をばかり繰り返してぬるい皮膚にへばりつくのを求める。
「きみはあきらめてしまったんだね」
芝生の上に降り立つ素足の裏の皮膚はとてもやわらかく青草にすら容易く貫通させられてしまう。空洞をさらに埋めるようにぬるぬるとしたねむけ達が皮膚に這い回る。彼は気にしない。口がある。

ザクザク、皮膚に穴が開く、そこに草が生える。絡む。
「きもちいいでしょう、めんどうでしょう」
草はさらさらと鳴く。人肌に温められた揺籃の中で体が崩れていく、午睡のまどろみの中に墓場がある。気だるい。跳ね回る彼らに音は無い。
ねむり
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